ニュースなどでよく目にする米国(アメリカ)、仏国(フランス)をはじめとする世界各国の国名の漢字表記。
スタッフも学生のころにこんな疑問を持っていました。
『なんでアメリカなのに「米」なんだろう?米食文化だっけ??』『なんでフランスなのに「仏」なんだろう?仏教関係あるの?』とかいろいろ。
今回は漢字表記の由来と意外な漢字表記の国名に迫ってみようと思います!
そもそも『米国』以外にもアメリカの表記はたくさんある。
前回の『米国』と表記されるアメリカですが、その他にもいくつかの漢字表記があります。
亜米利加、亜墨利加、亜美利加、米利堅、花旗国(中国南部での呼称)など様々です。
今ではほぼほぼ見かけることのないこれらの漢字表記ですが、我々の生活になじんだものもあります。それが『米利堅(メリケン)』です。若い方にはなじみがない言葉かもしれませんが『メリケン粉』などが代表的ですよね。メリケン粉は小麦粉のことであり、主に明治時代から大正時代にかけて使われていたとされています。
アメリカ人を意味するアメリカン(American)を聞き損ねたことから『メリケン』となり、それを音に当てはめたものが『米利堅』です。このことからアメリカから輸入された小麦粉をメリケン粉と呼ぶようになりました。粉物文化が根強い関西地方ではまだメリケン粉と呼ばれることもあるようです。
また護身用具で知られるメリケンサック(ナックルダスター)も、アメリカのギャングが喧嘩の際に使用したことからメリケンサック(サック=手袋の略語)と呼ばれたと言われています。
漢字表記は読み方の当て字???
先ほどの『 米利堅(メリケン) 』にもあったように、外国語の発音を漢字に当て込んだものが現在もつかれていることがわかります。
では、その起源はいったいどこからになるのでしょうか。
① 幕末・明治時代
鎖国が終了し、中国語やオランダ語による書物や蘭学以外の西洋の文化を取り入れる際、中国で行われていた学問の取り入れ方が見本になったとされています。
外国の言葉を中国に取り入れる際、中国では音を聞いて、それに近い中国語の漢字を当てはめる(=音訳)を行っていました。この音訳された言葉で記されたものが中国の参考書・学術書としてが日本に取り入れられ、広がっていったのです。
現在の日本語の漢字音では読みにくいものがあるのも、中国語の音で近い感じを当てはめいたことに由来しています。
例えば人名で知られる「アダム」は漢字表記で『亜当(中国表記では亞當)』となりますが、『当』の日本語読みを調べると「トウ(タウ)・あたる・あてる まさに」と出るため、初見で『アダム』とは読めませんね。
②音訳の歴史は仏教の伝来までさかのぼる
紀元前2世紀ころに仏教が中国に伝来した際にも、『釈迦(シャカ)』や『仏陀(ブッダ)』などの仏教用語は中国語に適切なものがなく音訳にて表記されました。
このようにサンスクリット語を中国漢字音で音訳した歴史があり、西洋の固有名詞も音訳され、それが日本に広まっていく流れになりました。
③”米”国になった経緯
アメリカを表す表記はさまざまありますが、一説によるとジョン万次郎(中濱萬次郎)が使用していた 『 米利堅(メリケン) 』 が当日使われていた『 亜墨利加 』よりも本来のアクセントに近いこともあり、『メリケン』という言葉が浸透していくことになったようです。(American-əmérikən→アクセントが”メ”)
また諸説ありますが、『亜米利加』や『亜墨利加』からとった『亜国』であれば、アジア(亜細亜)やアフリカ「亜弗利加」などと混在するため、『米国』となったとする説もあります。
音訳以外にも様々な由来が?
音訳によるもの以外でもさまざなな国名・地名表記があります。
⓪ 米国以外の音訳由来の国名
ニュースでよく目にする、イタリア『伊国(伊太利亜/伊太利)』、フランス『仏国(仏蘭西)』、ロシア『露国(露西亜)』をはじめ、カナダ『加奈陀』、 トルコ『土耳古』 、 デンマーク『丁抹』 などたくさんあります。
今回のサムネイルにも使用されている デンマーク『丁抹』 ですが、中国語で『丁』は「ディン」と発音し、『抹』は「モォー」と発音します。この「ォー」で舌先を軽く巻くため、より『Den”mar”k』らしく聞こえるのかもしれません。
① イメージしやすい意訳が定着する例
音訳表記の後にイメージしやすい意訳が登場し、そちらが定着する例もあるようです。例えば アイスランド『氷州/氷島』です。もともとは 『愛斯蘭』と音訳表記がされていましたが、後になってみると『氷島』のほうがわかりやすいですよね!
また、ヨーロッパに位置する モンテネグロ『黒山』もその例に当てはまります。もともとは『蒙特尼格羅』と表記していたそうですが、モンテネグロ(Montenegro)はヴェネト語で『黒い山』を意味するため、そちらの表記が使用されているそうです。
② 都市名・地名になると日本人による意訳が増え様々な表記に
イギリスの東部の町で、名門ケンブリッジ大学で有名な都市『ケンブリッジ』。
こちらの漢字表記は『剣橋』。
文字通り『ケン(剣)= 音訳』+『ブリッジ(橋)= 意訳』のハイブリッドです。このように国名や首都名ではない都市・地方の名前になると日本人による意訳による表記が増えてくるようです 。
またアメリカはカリフォルニア州にあるハリウッド(Hollywood)。
こちら漢字表記にすると『聖林』となります。「Wood」を『林』と訳し、「Holly」が『聖なる』か!!と行きたいところですが、『聖なる』は英語で「Holy」です。つまり誤訳というわけです。
ちなみに「Holly」は「ヒイラギ(柊)」という意味なので、本来の『Hollywood』は「ヒイラギの森」といったところでしょうか。
いかがでしたか?
英語に浸透した日本語(カラオケ-Karaoke、盆栽-Bonsai等)もたくさんありますが、国名の漢字表記もまた音訳を自国の言語に当てはめて発展しているものだとわかりました。
今回の記事はアメリカを例にしましたが、ほかの国でも様々な表記があります。もし興味がわいたら調べてみてはいかがでしょうか。
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