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【カワシマ印刷学】
「特色印刷」を追ってみた!【前編】

2024.8.21

私たち川嶋印刷の工場では、毎日いろいろな機械で多種多様な印刷が行われています。内容的に大きく分けると「カラー印刷」と「特色印刷」があります。今回はその「特色印刷」について探ってみました。

【前編】となる今回は、カラー印刷との違いやどんな時に特色印刷が使われるのか、また、どのような手順で行われるのかなど、特色印刷の概要についてご紹介します。

  1. そもそも特色&特色印刷ってなに?
  2. 印刷される色はいつも同じじゃないと困る
  3. どんな時に特色印刷が使われるの?
  4. 特色印刷の流れ

 

そもそも特色&特色印刷ってなに?

通常のカラー印刷の場合、「プロセスカラー」と呼ばれるシアンマゼンタイエローブラック(CMYK)の4色のインキを掛け合わせて表現されます。

皆さんのご自宅や職場にあるプリンターをイメージするとわかりやすいかと思います。 プリンターと同じように印刷機もこの4色での印刷が基本となります。

ただ、例えば日本の国旗を刷ろうとした場合、カラーでの印刷ももちろんできますが、白い紙に使っているインキは赤だけ。ならばその赤を最初に作っちゃった方がいろいろいいのでは?…という考えから生まれているのが特色印刷です。

特色インキは、あらかじめ色が作られている既製品ではなく、何種類ものインキ缶の中から指定色を作るためのインキをいくつか混ぜ合わせて作ります。

小中学生のころ、図画や美術の授業で絵を描くときにいろんな絵の具を混ぜ合わせて塗りたい色を試行錯誤しながらパレットで作った、あの作業と同じですね。

 

印刷される色はいつも同じじゃないと困る

美術の話の続きです。

例えば絵の具で広範囲を塗ろうとしたときに絵の具が足りなくなった時に色を継ぎ足したり作り直したりした経験ってありませんか?でもそういうときって大体最初の色と合いませんよね。

実は印刷も同じです。「赤い色」という事だけで印刷するごとにいつも赤色を適当に作ったら毎回色が違う日本国旗になりますよね?

そのため、特色インキのメーカーは基準になる色を示した見本色を作ってくれています。

実際に印刷するときは「特色の刷色は、●●(メーカー名)の何番で」として、その色見本チップを添付して刷色を指示します。

どんな時に特色印刷が使われるの?

特色印刷が使われる具体的な場面は、主に3つです。

  • CMYKで表現できない色を印刷するとき

賞状の金色や見たことのないような蛍光色など従来のインクだけでは表現できない色の印刷が必要な場合は特色印刷となります

  • 指定色を正確に表現しなければならないとき

例えば先程の日本国旗など、もともと色が決まっているものを正確に表現したいときなどにも特色を使うことがあります。

  • 特色印刷の方が効率が良くなるとき

Mのハンバーガー屋さんのように、赤と黄色しかない!というような場合、CMYK4色のカラー印刷よりも赤と黄色の2色の特色印刷のほうが適している場合があります。 このように、少ない色数で表現できるようなものは特色印刷の方が効果的です。

特色印刷の流れ

それでは次に、川嶋印刷で特色印刷を行う場合の作業の流れをおおまかにご紹介します。

  1. 指定した色見本に対し、パソコンに接続された特色インキ作成用ツール「CCM(コンピューターカラーマッチング)」で、インキの混ぜ合わせに使用するインキや色を作るための数値などを測定
  2. 調肉作業(割り出されたインキを練る作業)
  3. 叩き伸ばし作業(②で作られたインキを切れ端程度の紙上で色確認する作業)
  4. 試し印刷(実際にちょっと刷ってみる)
  5. 4で擦り出された印刷物に対して、再度測定・ CCM で指定色との差異を確認。インキの配合量や数値をチェック
  6. 微調整→測定・CCMチェック→微調整→測定・CCMチェックを繰り返し、数値と見た目による合格ラインをクリアしたら本番印刷開始!

…という流れになります。

と、ここまで読むと、CCMを使えば誰でも簡単に色が作れるのでは?と思われるかもしれませんが、CCMの測定データは「指定色を作るための強力なヒント」と言った方がいいかもしれません。

測定結果は「指定色を作るため・指定色に近づけるため」の数値ではありますが、そこから先は実際に色を作る印刷オペレーターの経験値に基づく技術力で、よりこだわった微調整を行い、最終的に印刷されるインキが作られます。

インキの配合量はもちろん、インキを混ぜ合わせる時のヘラの動かし方にもコツがあるとの事。一見単純に見える作業にも熟練の技が発揮されているんですね。

さらに、調肉で作られた色を紙に塗り付け、叩きながら伸ばして色の仕上がりを確認する「叩き伸ばし」と呼ばれる作業も、叩き方によって色が変わってくるので、特色印刷において非常に重要な作業なんです。

特色印刷は、カラー印刷とは違った目的や効果などにより、使われる場面がさまざまです。特色を作るために使われるCCMは、印刷の現場においては作業効率や品質面で必要不可欠な存在であることはもちろんですが、それにプラスして、印刷オペレーターの長年培った知識と技術の結集によって生み出される、実に深い作業なんですね。

でも、CCMが無かった時代はどうしてたんでしょうか…?

そして実は今回、チャレンジ企画として特色印刷用のインキづくりに関して、オペレーターの方にいろいろ挑戦していただきました!

気になる内容とその結果は、次回【後編】で!

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